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高森明勅
2019.1.17 15:34皇室

歌会始

1月16日、歌会始の儀。お題は「光」。

御製(ぎょせい)

贈られし
ひまはりの種(たね)は
生(は)え揃ひ
葉を広げゆく
初夏の光に

皇后陛下御歌(みうた)

今しばし
生きなむと思ふ
寂光(じゃっこう)に
園(その)の薔薇(そうび)の
みな美しく

天皇陛下は平成17年、
阪神淡路大震災10周年追悼式で、
遺族から贈られた向日葵(ひまわり)の種が成長し、
葉を広げる様子を優しく詠まれた。

その種は、震災で犠牲になった
女児の自宅跡で採集されたもの。

毎年、御所の庭に蒔いて、
大切に育てておられる。

陛下の国民へのお気持ちは、
むしろこのような人に知られない所でこそ、
尽くされている。

皇后陛下の御歌は陰影に富む。

美しい薔薇(ばら)が華やかに咲いた様子をご覧になって、
「今しばし生きなむと思ふ」と詠まれた。

しかも薔薇は、寂光に照らされている。

思わずハッとするような御作。

向日葵と薔薇。

平成最後の歌会始を、
両陛下は光の中に咲く、
これらの花で締め括られた。

 

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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